
退職金の積み増しなどで退職を促す「早期退職制度」や、ある一定の年次に達すると、部長などの役職からおりる「役職定年制度」など、企業はあの手この手で中高年の処遇見直しを急いでいる。
70歳までの就業機会確保が努力義務となる時代を迎え、中高年の学び直し「リスキリング」が流行ワードにもなっているが、そもそも「働かないおじさん」であったとしても滅多にはクビにはならない、日本の解雇規制についてどう考えればいいのだろうか。
使用者側で人事労務問題に取り組む岡芹健夫弁護士は「横並びと安定が大好きな日本では、今のままだと、次世代の若者たちが割を食うことになってしまう」と語る。詳しく聞いた。(編集部・新志有裕)
●判例をもとに形成されてきた
ーー解雇規制については、正確には解雇権濫用法理であり、判例をもとに形成されてきたものです。これはどのようなものでしょうか。
1950年代に判例が出てくるようになって、だいたい1970年代には確立されました。そして、2008年に施行された労働契約法16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と明記されました。
解雇が有効か無効かの判断においては、裁判所からみて、解雇に正当な理由があるか、そして、解雇を避けるための手段を尽くしたかということが問われます。
この法理は、従業員を長期間丸抱えして、その生活を守る「日本型雇用システム」がベースとなっています。
特に経営難による整理解雇については、欧州などと異なり、配置転換をしてでも雇用を守ろうとしたかなどが問われます。また、使用者側に立証責任があることも特徴的です。
ーー「働かないおじさん」問題については、整理解雇というよりも、能力不足による解雇ということになるかと思いますが、それも困難なのでしょうか。
過度に著しく無能力か、改善の見込みがないということでないと解雇は認められません。それは大して働いていない、というレベルではありません。
この解雇の難しさに加えて、雇用慣行である年功序列型賃金と、賃金などを下げようとした時の「不利益変更の厳格さ」(一方的な労働条件の変更が法的に認められないこと)がセットになって、中高年雇用の問題が起きているわけです。
●「みんなと同じ」が大好きな国民性
ーー解雇権濫用法理が変わらないと、どのような弊害が出てくるのでしょうか。
すでに雇用契約を結んでいる中でも、比較的パフォーマンスの低い人を保護することになってしまいます。全体のパイが増えない中では、次世代の若者たちが割を食うことになるのです。本当にそれでいいのでしょうか。
裁判所も、採用をめぐる三菱樹脂事件の最高裁判決で、採用前と後とでは、労働者の保護の度合いが違うということを明記しています。
そうすると、正社員になったもの勝ちということで、ひとたび正社員になれば、解雇権濫用法理と年功序列賃金に守られます。賃金の原資やポストはその人が手放さないことになるわけです。退職勧奨や希望退職など、解雇によらないやり方もありますが、自発的に退職しない人は会社に残ります。
ーーただ、弊害があるとしても、若い人も含めて、多くの人が「やっぱり終身雇用の方がいい」と考えているデータもありますが、どう考えればいいのでしょうか。
そうなんですよ。日本人って、みんなと同じように処遇が上がって、仲良く、安定して過ごすというのが大好きな国民性なんです。気候もちょうどいいし、欧州と違って島国で、他国や他民族に滅ぼされる危険もありませんでしたから、そのような国民性になったんでしょう。
ちょっと変なたとえ話になるかもしれませんが、聖徳太子の十七条憲法にも通じる話です。「和を以って貴しと為し」が第一条で、「命令を聞け」という意味の「詔を承けては必ず謹め」は第三条なんです。上の命令を聞くことよりも、まずは仲良くしなさいというのが先にくるんですね。
その精神は、高度経済成長期まではよかったんです。技術的にも後ろから追う立場で、賃金も低い状態だったため、みんなで協力して安定的にやっていこうという国民性と当時の時代背景がマッチして、急激な成長を遂げることができました。
でも今は、いかに人と違うことをするかという時代なんです。みんなで安定していこうというだけでは厳しい。また、新規事業が大事な時代なのに、今の法制度のままでは、労働力が移動しにくいことが大問題です。
●今の世代ではなく、次世代のことを考えてほしい
ーー今後、解雇規制が変わっていく可能性はあるのでしょうか。
どうでしょうね。政治家は国民受けの悪いことを最終的にはやれないでしょうし、裁判所も先例と社会通念で動きます。ですから、一部の人を犠牲にするようなことを積極的にはやらないでしょう。
日本の裁判所は「拙速」という言葉が大好きです。解雇の問題にしても、「この会社がやったことは拙速である」、つまり、強い必要性はないのに速くやりすぎだと指摘することが多いのです。
ーーこれまでのように、職務を限定せず、ヒトをベースにした「メンバーシップ型雇用」の正社員ではなく、ジョブ(職務)をベースにして、その職務が消えたら、雇用もなくなる、という「ジョブ型雇用」を正社員にも取り入れることで、解雇しやすい仕組みを作れないのでしょうか。
契約次第では、不可能ではないです。でも、理屈の上では変わっても、上の世代は解雇されないメンバーシップ型雇用の人たちのままにしておけば、世代間の不公平が残るでしょう。そうなると、結局若い人が日本企業ではなく、外資などに流れていくだけです。
ーー仕組みが変わらないとすると、流行り言葉の「リスキリング」のように、中高年がみんなで学び直して、時代の変化に対応していこう、という流れでやっていくしかないのでしょうか。
確かに中高年の中でも、学び直しで新しいことをやれる人もいますし、若い人と同じくらい働ける人もいるでしょう。しかし、多くの中高年は、年齢とともに体力も記憶力も落ちて、貢献度は低くなります。賃金も変えずに学び直しをするのは至難の業です。せめて賃金を下げることだけは、若手への賃金原資の確保のためにも、もっと容易にできるようにしないといけないでしょうね。そうでないと若手の不公平感は拭えないでしょう。
繰り返しになりますが、今の世代ではなく、次の世代のことも考えてほしいのです。
【取材協力弁護士】
岡芹 健夫(おかぜり・たけお)弁護士
高井・岡芹法律事務所所長。第一東京弁護士会労働法制委員会委員、東京三弁護士会労働訴訟等協議会委員および経営法曹会議幹事等。主な著書に、『労働法実務 使用者側の実践知〔LAWYERS’ KNOWLEDGE〕』(有斐閣)、『労働条件の不利益変更 適正な対応と実務』(労務行政)等
事務所名:高井・岡芹法律事務所
事務所URL:https://www.law-pro.jp/

<このニュースへのネットの反応>
つまり世間的に働かないおばさんが増えたんやろな。タゲ向けるなと
暇だからって碌でもない事してる弁護士サマは、働かないおじさんなんかより害悪だろ
弁護士ドットコム的には終身雇用は悪と
どこかの集団が抜かしてる犯罪者庇護の方が、次世代の若者(+α)が割を食う程度がはるかに大きそう。
権利を捨てよう!次は何がいいかな?
成果主義万歳 無能が居座ってると会社が*化するからな
働かないおじさんを出して働きたくても働けないおじさんを入れるべき
「働かないおじさん」の定義次第よね事実として人間として粗悪な中年は少なくないが、使用者の采配が悪いケースもあるわけで
年功序列で上がった給料と働きが見合わないおじさん達は、若い頃は働きに見合わない安い給料だったケースが少なくないから、おじさん達からすれば「昔貰えなかった分を今貰ってる」という感覚になるのよね。中には昔からロクな仕事をしていなかった、なんておじさんもいるけどさ。
んじゃ働かない無能社員を辞めさせたイーロン・マスクは正義じゃん。本当に詐欺師ドットコムはダ*タ記事しかないな
日本の勤め人の労働環境って無能なほど手厚く保護されて、会社に対して貢献や利益を上げている奴ほど割を食う傾向があるってのは否定しないけど、無能に厳しくしたら無能はおじさんは切られるだろうけど、同時に無能なおばさんや小僧や小娘も切られると思うんだけど貴方は大丈夫?
若手の不公平感ってなんだ?不公平だと騒ぐ*が出るたびに解雇してたら騒ぐ*以外全員解雇する羽目になるぞ
今のおじさん達は若い頃に「24時間戦えますか」で低賃金で重労働させられまくっても、年功序列の終身雇用制だからそれに耐えて今の地位があるだけ。その労働者(おじさん)達と企業側との関係である年功序列や終身雇用制に部外者が解雇促進みたいな口出しをするのかね?。
どう考えても各企業の人事権の範疇だから日本経済に寄与しないパヨッコムは黙れ
「働かないオジサン」と「仕事しない弁護士」がタッグを組むとか胸熱だな(白目)
マスクを称賛しているくらいだから解雇規制取っ払うことにみんな賛成するでしょ
まぁ働かないおじさんおばさんで跋扈してる政治界隈は、全てAIに変えた方がこの国は最高に良くなるのは間違いないね。
これって能力主義や成果主義の一つの形だと思うけど、日本だとあまり成功してないからこれもうまく行かなそう。おじさんが若者に技術を教えず独占するとかになりそう。
上手く行かなきゃその会社が潰れるだけ、と言うのが自由主義と市場経済だ。この記事のように「こうあらねばならない」で制度設計するのは社会主義。人間にはそんな設計を行う能力は無い。AIならどうか?というのはまぁ新しい話題だが・・・
わかるー。弁護士って職業がその典型だよね
労働者A「働きたいです」⇒企業「実務経験~年以上必要です。」労働者A「経験を積みたいです」⇒企業「実務経験~年以上必要です。」これが実情です。
働かないでコメ欄に入り浸るおじさんと会社に雇われないから働けないおじさんが入り乱れてるな
20年以上前から言われてんのに今更?
〇〇おじさん(すきなことばをいれてね)
働かないおじさんが増えたのは、業務のネット化とAI化が進んだからである。たとえ今、働いてないおじさんたちを会社から放り出しても、そこに次の世代の若者が座れる席はない。
じゃぁ働かない国会議員は問答無用で免職でよいな
企業で働いたことがない弁護士ごときがしたり顔で雇用を語ってんのがクソワロタ
まずは率先して弁護士からやるのはどうだろう、自分らは選ばれた人間とかと勘違いしてるみたいですし
まあ皮肉なことに解雇が容易な外国程若年失業率が高いんだけどね。この記事は「おじさん」の方が無能と決めつけてるけど上記事実は若者程スキルがない現実をよく証明している。ついでに言うと解雇容易な社会程会社が社員を育成するということはなくなるからね。
多くの人間は自分が思っているほど有能ではありません。実力主義になって多くの収入を得られるのは上位数パーセントの上澄みですよ。「それ以外」の大多数が割を食う羽目になる。アメリカを見れば分かるでしょう。あんな風になりたいですか?私はご免です。
今の中年割と現代に馴染んでる気がするけどね。PC使えなくてひっくり返してる奴とか見たことねぇよ
何の努力もコネクションも持ってないが、今すぐカネと地位がほしい、そんな記事。そんな内容こそクビにすべき無能力者の人が妄想しそうな内容だと思われるのだけど。
でもキミも無能だよ?勘違いしないでね!
小泉竹中の改革の結果を理解しようとしない人がまだいるなあ。産業革命後のイギリスのような資本家にあらずんば人にあらずの世の中をまた作ろうとでもいうのかな。まあ、こやつは企業の顧問弁護士だから企業の利益になることしか言わんだろうけど
おじさんが無気力になる原因が「働いても一向に待遇が良くならない」の諦観な事多いからなあ。おじさんも企業も自業自得ですわ。
無意味な年齢差別をやめさせて働かないおじさんを働かせるのがより現実的な解決方法。
就職氷河期世代を*たくて*たくて*でほしくてたまらないのはひしひしと伝わってくる。中年男性はいくらでも罵倒していい存在だから、誰も助けてあげようと思わないもんね
おじさんは会社の無茶振りを若手にいかないようにするクッションになってくれてたりする。働かないおじさんも自分がみんなからのヘイト持つことでみんなを守ってるんやで
暇なら弁護士減らす事考えたらどうです?
気が付きゃ、おじさん入りだけどな
おじさんに限定しているあたりヘイトとかハラスメントの類じゃない? これが働かないおばさんとか言ったら炎上するんでしょ? 何も言ってこない相手だと思って舐めてない?
今は年功序列じゃないから年をとっても給料は上がらない人は上がらない。どうせ解雇が簡単になっても解雇されるのは高給取りではなく二十代未満の薄給で働いている中年だけ。高給はなんやかんや企業から評価された結果だし
ところで日本は30年間ずっと給料が上がっていないはずじゃなかったんですか?そのおじさんは実在していますか?
おじさん云々はどうでもいいけど、これから先の直近の数年は日本除いて大体の国で金融引き締めやってるから世界的な不況が来て経営がますます大変になるはず。んで金利上げてる国はインフレ収まったら金利下げればいいだけだけど日本はその調整弁が無いうえ社員の首切り(人員整理、調整)が容易にできないからかなり立ち遅れると思う。次の世代は知らんがな。
「働かないおじさん(おばさん)」は正直どうでもいいけど、その「働かないおじさん(おばさん)」の給料は最低賃金にしてほしいわ。
その働いてる働かないって線引きは何処の誰が決めるわけ?雇い主の独断か?日産に居座って私腹を肥やしてたクソ眉毛のリストラで今どうなってるよボケ弁護士
イーロンマスクを召喚せよ
無能を解雇しても生活保護が増えるだけ。安楽死を合法化しないと解決しない。
男て悪く言われたくなくても悪く言われるよね。
いやー、若いうちは安月給でこき使われて中年以降は能力落ちるし体も無理できなくなるから切り捨てるってことだね。さすが労働搾取が上手いね!弁護士ドットコムは!
不思議なもので働きものだけを集めるとその集団の中から怠ける人が出てくるそうだ。